MokuScience

数学、物理学、そして動きによって、目に見えないものを可視化する。

項目

内容

プロジェクト種別

クリエイティブリサーチ

状況

進行中

カテゴリー

クリエイティブリサーチ、データビジュアライゼーション、サイエンティフィックビジュアライゼーション、3Dグラフィックス&アニメーション

実装環境

Blender 5.2(ヘッドレス)、Python、Claude Code

出力形式

MP4(縦9:16、横16:9)

期間

2026年10月から継続中

スタジオ

Mokujiro Studio

クリエイティブディレクター

田井憲橘

データビジュアライゼーションから生まれた好奇心

デザインのキャリアを通じて、私は一貫してデータビジュアライゼーションに携わってきました。情報を目に見える形にすることは、私の好奇心を刺激し、学びへの意欲を生み出し続けてきたテーマの一つです。

複雑な概念や、目に見えない現象の仕組みが、視覚的な表現を通じてどのように理解できるものになるのか。そのプロセスに、以前から強い関心を持っていました。

データビジュアライゼーションにおいて、私が大切にしているのは、見る人が直感的に理解できるだけでなく、頭の中で情報を効率よく整理し、その関係性や全体像を自然に把握できることです。視覚的に魅力的であることは大切ですが、そこに使われるすべての要素には意味がなければなりません。美しさは装飾として付け加えるものではなく、情報そのものから自然に生まれるべきだと考えています。

私が大切にしているのは、シンプルさ、明快さ、そして余計なものを削ぎ落とすことです。見る人が何を見ているのかを直感的に認識でき、視覚的な表現が理解を妨げないこと。そのために、情報の構造、視覚的な階層、そして一つひとつの要素の役割を慎重に考えています。

MokuScienceは、このデータビジュアライゼーションの経験を土台に、視覚表現を3Dグラフィックスとアニメーションへ広げる取り組みです。アイデアを探求し、伝える方法がそれだけ増えました。

数式を目に見えるものにする

MokuScienceは、数学や物理学の原理を、データビジュアライゼーション、3Dグラフィックス、アニメーションを通じて探求する継続的なビジュアル実験です。

ここでは、異なる視覚表現を組み合わせています。データビジュアライゼーションは数値の関係やパターンを明らかにします。3Dグラフィックスとアニメーションでは、数学的な構造や物理現象を、形、空間、動きとして探求します。

ニュートンの運動法則、波動関数、確率、量子もつれ。これらのテーマを学びながら、数式によって記述される現象や関係性を、どのように視覚的に表現できるかを探っています。

私が関心を持っているのは、数式を単に映像に置き換えることではありません。数式が記述しているルールや構造を理解し、それがどのように形になり、動き、相互作用するのかを可視化することです。

数学的な原理をもとに、計算モデルをつくります。テーマに応じて、その結果をデータビジュアライゼーションで探ったり、3Dの形に変換したり、Blenderのアニメーションとして動かしたりします。視覚効果を後から加えるのではなく、背後にある数学的・物理的なルールそのものが、画面に現れるものを決定します。

数式がイメージを生み出し、そのイメージが理解を深める。 それがMokuScienceの中心にある考え方です。

アイデアからビジュアル実験へ

制作は、まずテーマについて学び、基本的な仕組みを理解することから始まります。

次に、その概念をできるだけシンプルに説明できる形に整理します。私が意識しているのは、10歳の子供にも伝わるように説明できるかどうかです。

複雑な概念を小さな要素に分解し、絵本のページをめくるように、一つずつ理解できる順序を考えます。

Study 069の絵本:7ページ、1ページに一つの考え

そこからストーリーを組み立て、ビジュアルシーケンスへと展開します。何を見せるのか、何が変化するのか、どのタイミングでカメラを動かすのか。見る人が自然に概念を追いかけられるよう、時間と視点の流れを設計します。

Study 033の絵コンテ:1幕に文字1行、絵1枚、カメラの動き1つStudy 056の8つの見出しを順に

コンピュテーショナル・モデリング

ビジュアルの制作には、PythonとBlenderを使用しています。

Pythonで数学的なモデルや計算処理を実装し、その結果をBlenderで形や動きとして表現します。Blenderはバックグラウンドでスクリプトから制御し、モデルに基づいたシーンやアニメーションを生成しています。

Claude CodeなどのAIツールも、コードの作成や改善、調査、問題解決を支援するために活用しています。

ただし、AIがコンセプトや表現を決めるわけではありません。テーマの選択、理解、ビジュアル言語、構図、動き、そして最終的な判断は私自身が行います。

検証と改善

科学や数学を扱う以上、視覚的な表現だけでなく、その背後にあるモデルの正確さも重要です。

計算結果や数式との整合性を確認し、必要に応じてモデルを検証します。また、科学的な現象をそのまま表現する部分と、理解を助けるために簡略化した表現とを区別することも大切にしています。

制作は一度で完成するものではありません。学び、モデルをつくり、可視化し、検証し、改善する。その繰り返しを通じて、自分自身の理解も深めていきます。

明快さを軸にしたビジュアル言語

MokuScienceでは、視覚的な表現にも一貫した考え方を持っています。

  • 正確さを優先する:見た目よりも、まず仕組みやルールを正しく表現する。

  • すべての要素に目的を持たせる:形、色、動きには、それぞれ明確な役割を与える。

  • 余計な装飾を避ける:理解に必要のない視覚的な要素は取り除く。

  • 明確な視覚的階層をつくる:何を見るべきかが自然に伝わる構成にする。

  • 直感的な理解を促す:複雑な関係性を、視覚を通じて捉えられるようにする。

  • 発見の余地を残す:見る人が新しい関係性や意味に気づくきっかけをつくる。

目指しているのは、複雑なものを単純に見せることではありません。複雑さの中にある構造を明らかにし、理解できる形で伝えることです。

MokuScienceのスタイルガイド:色、フォーマット、構成、カメラ、文字、線、進め方、決定事項

理解に、もう一つのレイヤーを加える

AIの進化によって、これまで専門家だけが扱っていた高度な計算や分析が、少しずつ身近なものになっています。量子コンピューティングをはじめとする新しい技術も、既存のコンピューティングや情報処理の考え方に、新しい可能性を加えようとしています。

私は、これからの技術の進化は、現在の仕組みを単に改善するだけではなく、これまで使われてこなかった概念や新しい考え方を重ねることで、私たちの生活や社会のあり方を大きく変えていくのではないかと考えています。

そうした変化に関心を持つ一方で、まずは自分自身が基礎から学び直したいと思いました。

MokuScienceは、そのための実践でもあります。既存の知識を学び、その仕組みを理解し、新しい視点から捉え直す。目に見えない関係性を可視化することで、理解にもう一つのレイヤーを加えていく。

終わりのない探求

MokuScienceは、完成を目指す単一のプロジェクトではありません。一つのテーマから次の疑問が生まれ、その疑問がまた新しい実験につながっていきます。

それぞれのスタディは、学んだことを整理し、自分なりの方法で理解し、視覚的な形にした記録です。

目指しているのは、決まったゴールに到達することではありません。学び、問い続け、つくり続けること。

目に見えないものを、見えるものにする。

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事例の詳しい内容は、ご希望に応じて個別にご説明します。

事例の詳しい内容は、ご希望に応じて個別にご説明します。